部品メーカーの現状~ワイヤーハーネスを例に~

ジョブでなく、自身の関係で部品メーカーを見ることが多かったので、以下にまとめます。一般論に終始するかもしれませんがご了承ください。外部から入る情報のみで書いていますので。

結論を言えば、

・部品メーカーの立場は弱い、

ということを深堀します。

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ワイヤーハーネスとは上記の画像(greeの人は外部ブログに移動してください)にある電線の集合をイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。自動車は多くの部品から構成されますが、ハーネスとシートの部分の割合は非常に高く、TOYOTAや日産のコスト削減の的にされやすい現状にあり、自動車会社の資材調達部なんかの営業がやってきて無理なお願いをしています。ハーネスが3悪(値段が高い、重い、太い)であることも一因です。サプライヤーの現状について、このレポート
がご参考になるかもしれません。ちょっと論点がずれますが。

そんなハーネスは加工費/TOTAL製造コスト、の割合が非常に高い。電線をいじるのが手作業になっているのが最大の要因です。このため、価格を下げる≒人件費を下げるという流れになり、中国含め海外生産比率を高めることで対応してきました。しかし、ある一定程度(70%が限界と言われている)を超えると対応不可能なので、軽く・細いハーネスの製品設計で切り替えて対応していきたいというのが部品メーカーの思惑です。

さて、TOYOTAとハーネスを作っている会社の関係を考察します。サプライヤーは大きく3つの寡占状態で、新規参入も厳しい状況です。
矢崎総業株式会社:トヨタのハーネスの40%強を受注
住友電気工業:30%強を受注
古河電気工業:10%強を受注

矢崎のアニュアルレポートのページを見ると、国内売上高が5403億円で自動車の割合が86.7%なので、4684億円毎年自動車部品の売上があることがわかります。海外売上高は4,600億円なので、自動車の割合が国内と同じであることを仮定すると、

年間自動車部品売上=(5403+4600)*0.867=8725億円

になります。

一方、住友電気工業の連結売上は17400億円の売上があり、自動車部品の割合が43%とあるので、

年間自動車部品売上=17400*0.43=7482億円

になります。

上記で算出した売上の比と、40%強と30%強の比率が誤差はあるものの近いので、受注率はおおよそ正しいと実証されたとしてよいでしょう。7482/8725=0.86なので、矢崎の海外売上の自動車部品比率は87.6%より高いのかなぁと推測できます。

しかし、住友電気工業の自動車部門はハーネス以外のものも多く生産していますが、矢崎の自動車部門はハーネス専業なので、この辺りも考慮する余地が残されています。

販路に関して、矢崎はトヨタ以外の構成がわかる外部データがありません。一方、住友電気工業も三菱自動車との付き合いがあるのはわかっていますが、構成比が不明なので今回は無視したいと思います。

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矢崎も1位でありながら、トヨタとの関係は「言いなり」に等しく、厳しい状況が続いているようです。2位以降は言うまでもありません、仕事を断ることは会社の存亡にかかわる事態に直結するので、絶対服従です。定期的(一年か半年に一回)にコスト削減を要求され、対応しています。さらに、グローバルプラットホームとかなんやらで、世界中どこでも同品質同価格(部品も当然)を要求され、BRICsや南アフリカに進出するトヨタに対応すべく苦慮しているのが原状です。

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そんな中でも、自動車業界の活況、景気回復を背景に部品業界の再編も進んでいたりしてM&A市場も好調です。ここで考えなきゃいけないのは、どんな買収提案なら喜んでいただけるかということです。具体的には、売上に占める割合は高いけど収益率は低く薄利多売的な中で、同業他社を買収したところで上流メーカーへの発言力・交渉力が果たして高まるか、それより新規事業あたりで独自に製品を作る分野において技術優位のある企業を買収して多角化を推進していくべきなのか、とか考えるわけです。小規模で多角化とか難しいイメージがあるものの、収益率とDCFによる企業価値を高めることが最優先であり、あの手この手を考えた上での提案をしなければいけません。提案の反応を見ながら、臨機応変に対応しておくことが大切なのですが、対応するための引き出しは事前準備が必要です。

以上、部品メーカーについて触れ、買収にもちょこっと触れました。買収の手段についても一度まとめてみたいと思います。
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by tsuyoshi_829 | 2006-01-14 15:37  

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