負債比率の決定要因(続き)

忘年会・・・、楽しかったが5時間程度立っていたので、足が痛い・・・。とはいえ、社員の芸にかける情熱に尊敬。素晴らしいダンスを見せていただいた。入社までに、いろいろなイベントに参加させてもらっているが、仕事もしていないのに打ち上げだけ参加しているため、今ひとつ寂しさがある。早く働きたい、苦労を超えてこそ美味い酒が飲める。

今日、神楽坂で蕎麦を食べる。蕎楽亭 、天ぷら蕎麦をいただいたが、美味しい。この辺りの和食やフレンチはまだまだ開拓の余地あり。

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Rajan and Zingales(1995 journal of finance)の目的は、先行研究で示唆される負債比率に影響を与える要因、が米国以外の国でも同様に適応されるのか?また、制度や会計の違いが効いてくるのか?といったもので、負債比率の決定要因を4つの代理変数を用いた重回帰モデルで検証しました。対象はG7、SP500やnikkei500・・・です。結果、一部国ごとの若干の違いはあるものの、負債比率に対して影響の高い説明変数は、有形固定資産比率、総資産利益率(論文では、利益はEBITDAを使用)となりました。モデルは以下のとおりです。(利益率を経常利益率にしています)

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説明変数と符号条件を列挙します。

PBRについて。PBRは企業の成長機会、市場のミスプライシングの代理変数とされている。前者の場合、成長機会が多い企業は株式による調達が多くなるため負債比率と負の関係を持つ。エージェンシーコストの観点から解釈すると、成長機会が多い企業は経営者エージェンシーコストが小さくなり、負債エージェンシーコスト(株主と債権者の利害不一致)が大きくなる。従って、PBRの上昇により負債比率が低下する。後者の場合、マーケット・タイミング仮説を仮定すると、経営者は割高時に公募増資し割安時に自社株買いを実行して既存株主から利益を得ようとするので、PBRと負債比率は負の関係となる。なお、データの都合上、総資産成長率で代替する論文もある。

有形固定資産比率について。有形固定資産比率とは担保となる有形固定資産が総資産のどれくらいを占めるかを示すものであり、倒産コストの代理変数である。倒産コストを回収率まで含めて考えると、有形固定資産比率が高いほど、企業が倒産した時の回収率が上がるため倒産コストが低下する。また、担保として機能する有形固定資産は借り手と貸し手のエージェンシーコストを低下させる。有形固定資産比率の上昇は、倒産コストの減少とエージェンシーコストの低下を通じて、負債調達限度を上げる。従って、有形固定資産比率と負債比率は正の関係を持つ。

ROAについて。ペッキング・オーダー仮説によると、内部資金の増加により将来の逆選択コストを小さくできるので、内部資金より逆選択コストが高い負債による調達が減少する。従って、ROAと負債比率は負の関係を持つ。

ln売上高について。ln売上高は企業規模の代理変数であるが、符号条件がどちらになるかは意見の分かれるところである。一つは、企業規模が大きいほど多角化による分散効果で倒産コストが下がるため負債比率と正の関係を持つ。もう一つは、企業規模は情報の非対称性の代理変数であり、企業規模が大きいほど資金供給者との情報の非対称性が低いというものである。この場合、ln売上高の符号条件を明確に決定することは出来ない。規模の代理変数としては、総資産も使用できる。事業法人と金融法人を一緒に分析するときは、総資産回転率の影響を考慮して説明変数選択することが必要である。

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(+)負債の節税効果
(+)株主と経営者の情報の非対称性(not資金調達時)
(-)破産コスト
(-)経営者と債権者の情報の非対称性(not資金調達時)
(-)資金調達時の外部投資家と経営者の情報の非対称性(資金調達時)

に表される最適資本構成の議論を意識して、前回と同様整理しますと、以下の図のようになります。

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基本的に企業間に違いのない税以外の部分を含んでいるので、企業間で分析するのであればこれで十分なのでしょう。最小二乗法ではなく、GMM(一般化モーメント)ですが、内閣府が似たような分析をしています。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2005/1202nk/05-4-2-04z.html

次は、最適資本構成を意識した重回帰モデル(野村)、資本構成の調整コストについて話を移してみようと思います。
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by tsuyoshi_829 | 2006-12-09 21:14  

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