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金利続編

短期金利について、

以前は時間軸政策といって「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を継続する」という趣旨で、将来の短期金利の予想地に働きかけることにより、現在の中長期金利に影響を与えるものです。現在は、金利でなく量で調整する前代未聞の政策を採っていますので、「当座預金の目標額がオーバナイト金利ゼロ%を維持するに必要な額を上回る限り、量的緩和をCPIインフレ率が安定的にゼロを上回るまで続ける」というコミットメントになっていますが、ゼロ金利を継続するという時間軸政策が含意されているということになると解釈していいでしょう。
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一年物まで実質ゼロ金利になっているのは、上記のコミットメントの影響です。ちなみにオレンジが木曜日夜で緑が金曜夜です。量的緩和解除(金利上昇)の期待から、中期物が買われて中期金利が上昇しているのが綺麗に出ています。

そもそも、短期金利は通常は「テーラー・ルール」と呼ばれる考え方で決定されているようです。簡単に説明しますと、

短期金利=インフレ率+均衡での実質金利+α(自然失業率-現実の失業率)+β(インフレ率-目標インフレ率)
と書かれることが多いです。αとβは正のパラメータです。

アメリカにおいては、
FFレート=現実のインフレ率+中立実質金利2%+(現実のインフレ率-目的のインフレ率2%)÷2+(現実のGDP-潜在成長率)÷2
としているようです。(ネットでググってみただけですが、どこでもこれが出てきました。)
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現在は、通常時でなく、ゼロ金利状態ですのでテーラー・ルール金利がマイナスになる時が出てきます。従って、政策金利=max(テーラー金利,ゼロ金利)とした考え方が出てきます。これを修正版テーラー・ルールとします。しかし、これを採用すると本来望ましい政策金利(=テーラー金利と仮定)より高い金利を設定しなければなりません。そこで、金利をプラスにしていい状態になっても、しばらくゼロ金利を継続して、過去の付けを払おうというのが考えられます。つまり、マイナスにできない部分を、プラス→0にすることで時間差を認めつつもやっていこうという話です。プラス→0にするのにコミットメントを使って、期待を変化させ、一年以内の金利を抑えているのが現在の状況です。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-26 16:12  

デフレ脱却

マネタリーベースが伸び続けているものの、デフレを脱却していない時代が続いた。普通に考えれば、お金の総量が増えれば金利が下がって、相対的に物価が上昇するはずであった。しかし、91~95年の度重なる金融緩和がオーバーナイトのコール金利はゼロに近くなり、名目金利の非負制約に直面してしまった。さらに、金利を下げることが出来なくても低いのであれば、銀行貸出が活発化して企業の投資活動(設備投資に代表される)を刺激して、景気回復で徐々にインフレになるはずなのだが、当時98年以降は不良債権問題等に直面した銀行の貸し出し増加率はマイナスを記録し続けた。

以上2点の問題が、デフレ脱却の遅れの最大の要因であることは間違いないと思われる。

一方、ゼロ金利下の金融政策には大きく3つある。

1.将来の金融政策ないし短期金利についての予想のコントロール
  コミットメントにより、将来短期金利の予想値=現在の中長期金利を誘導すること。基本的には、長期金利は現在から将来にかけての短期金利の予想値の平均と何らかのリスク・プレミアムの和に等しいというのが、標準的な長期金利の見方である。

2.特定の資産の大量購入
  BSの規模変えずに、配分を変えるようなイメージ。市場に存在する各資産の比率に影響を与え、その結果、資産価格を動かそうとする政策と考えればよい。オペ対象資産のリスク・プレミアムに影響を与えようという試みである。当然、中央銀行の財務リスクを管理するのは大変である。

3.中央銀行のバランスシートの規模の拡張
  基本的にはマネタリーベースを拡大させる≒短期国債を買いまくる。

以上は、一つ目の問題に対する処方箋である。では、金融システムの資金仲介能力の低下に関してはどのように対応すべきか。本来、政府サイドの役割になるが、長らく出来ていない状況が続いていたので、資本注入に等しいオペは行われてきた。政府サイドの役割と書いたが、「最後の貸し手」の機能はあくまで、流動性の枯渇(流動性プレミアムがべらぼうに上がる)によって倒産することを防ぐ手段であり、倒産したら日銀のB/Sが痛むのでそうそう使える手段ではないことを断っておく。


と話は変わるが、こうした対応含めここ7年で日銀のバランスシートは大きく変化した。
・資産・負債残高の規模が大きく膨張している。
・資産サイドにおいて、長期国債の保有残高が大きく増加している。
・資産サイドに株式や資産担保証券が出てきた。


最後に、今日の朝、嬉しい報せがあった。俺も頑張ろう♪
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-24 22:35  

今回は金利でも


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クレジットの話もいいのですが、今回は金利の話をちょこっとします。右の図にあるように、日本の金利の期間構造は他に類を見ない感じになっています。ファイナンスのテキストなんかを見ると、一次導関数は+だけど、二次導関数はマイナスの形状のカーブが書いてありますが、そのあたりと比べるとゼロ金利の影響もあって図のようになっています。

金利の話をしたのは、大きく二つあって、一つは量的緩和解除の3条件が満たされつつあり金利上昇期待が先週の金曜日に市場に強く表れたからです。短期金利は激しくあがり、長期金利はかなり下がりました。確か、7年物より前は金利が上がったはず。おおよそ、金利のトレーダーなんかになると、①先物②現物③スワップレート、でそれぞれ金利のイールドが描けるのでその辺りを見ながら取引をするのでしょう。

もう一つ、アメリカ財務省が4年半ぶりに30年物国債を再開しました。イラク戦費などで新たな財源確保を迫られる中で、長期金利が低水準な今のうちに調達コストを抑えた資金を手当てするのが狙い。落札したのは、恐らくヘッジファンドだろうとのこと。流通利回りは4.50%、日本の30年物は2.2%程度だったはず。

今日は、割と暇だったので、彼女と昼ごはんのランチを食べて生協で本を読んで二人で歩いていたら、ゼミの先生2人と秘書さんと遭遇・・・。先生方には笑われるし、秘書さんにはいじられるし、彼女はそそくさ先に歩くし、立場が悪いことこの上ない(笑)。とはいえ、対策があるわけもないし不可抗力なので仕方ないよなぁ。

アルゴリズム取引、活発化したら株式売買も小口化して注文件数増えるのでシステム弱い東証は厳しくなるなぁ。システム、自主規制、外国企業の上場、課題は多いがこの一年勝負していただきたいのが感情論。また、セルサイドのセールス・トレーディングの人は今後減っていくんだろう。最強コンピューターとチェスをやるようなもので、求められるのはシステム売買のしくみに精通しかつ相場観のあるアドバイザーになれる人材だろうか。とはいえ、アルゴリズムの指令を出すのも人なので、その部分も含めた相場観が求められるという意味では大きく変化ないのかもしれない。

最後に、BRICsに続き、ゴールドマンサックスが言っているネクストイレブン。
 ・バングラディッシュ
 ・エジプト
 ・インドネシア
 ・イラン
 ・韓国
 ・メキシコ
 ・ナイジェリア
 ・パキスタン
 ・フィリピン
 ・トルコ
 ・ベトナム

昔、ゴールドマンは「BRICSと 夢見る――2050年への道」というレポートを書いて注目を集めていましたが、今回もその延長と見るべきか。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-23 00:51  

食事

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やっと、家についてしばらくは?のんびり家の飯が食えるので安心です。高級な料理は自分には合わないことがようやくわかりました。その一方、写真にあるような物を食べ歩いたり、悪友と焼肉食べ放題に行ったり、先輩と神楽坂でうどんすきを食べたり、息抜きもしてました。当然、ホテルのフィットネスセンターに行って、消化も・・・。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-18 20:14  

先生と

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いろいろ相談してきた。3月頭で東京へ行ってしまうので、何かしら形にして感謝の意を表したいところであるが、いいアイデアがない。さりげなく、自然な感じというのは思った以上に難しい。


今日は、デフォルト確率の算出入門編です。
Black-Scholes-Mertonモデル

・構造モデル
・キャッシュフローの割引価値としての企業の資産価値Aを定義し、幾何ブラウン運動にしたがっていることを仮定する。
・企業は株式と満期T額面Lの割引債(クーポンなしの債券です)で資金調達をしていると仮定
・満期Tで資産価値が債券の額面を下回っているとデフォルト、債券保有者はA(T)を受け取る。よって、満期受け取りはmin(L,A(T))となる。
・株主は満期時点で残差max(A(T)-L,0)を受け取る。

ちょっとわかりにくいですが、

株式:資産価値を原資産とするコールオプション
債券:資産価値を原資産とするプットオプションのショート+デフォルトフリーの額面Lの債券のロング

と解釈いただけるとわかりやすいかと思います。資産価格Aは対数正規分布に従い、満期時にLのラインを下回るとデフォルトというわけです。このモデルが初期のモデルになるのですが、いくつか欠点がありまして、

・債券の満期時点でのみデフォルト
→債券の満期以前でのデフォルトを考慮

・金利一定の仮定
→金利変動モデルへの拡張

・経営者の戦略的デフォルト
→株主価値を最大化するデフォルト時刻の選択

・満期に近づくにつれて、債券の信用スプレッドがゼロに近づいてしまう
→資産価値をジャンプ付き拡散課程に拡張

・債権者からみたサプライズとしてのデフォルト
→株主と債権者の情報の非対称性を導入

上記のようになっていまして、→にある形で研究が進んでいます。一度お会いした小林先生の論文では、債務を短期債務と長期債務に分けて議論していたのが新鮮でした。

で上に書いた株式と債券の定義をもとにいろいろ話を展開できるわけです。なぜかっていうと、株式と債券がオプションを用いて表現でき&ブラック・ショールズ式で算出されたオプションの性質を用いて、資産価格や金利、資産価格のボラティリティ(標準偏差)の変化と株式価格や債券価格の議論に持っていけるからです。要はBS式の感応度分析の応用で株式や債券の価格の議論ができるということになります。

この話は非常に大切な部分なので、後日詳細を説明したいと思います。ちなみにBlack-Scholes-Mertonモデルの利点はDebtとEquityのデータだけでデフォルト確率を算出できることで、デメリットは仮定が強すぎて??っとなってしまうことになるでしょうか。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-14 23:07  

携帯

がフリーズ?しました。うんともすんとも言わない状況です。初めてで困ってます。

明日どうにかできればいいのですが、月曜の夕方くらいまで携帯が繋がりません。

パソコンのメールはチェックできるのですが・・・。

論文落としに大学行くはずだったのに、散々ですなぁ。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-13 00:39  

勉強

してました、まともに4時間も本を読んだのは久しぶりなので気持ちよく理論を整理できました。今日は仙台エリートバンカーの説明会、キーワードは「委託」。なるほど、こういう手があったかと!したけど勉強になった。

で、そろそろつまらない就職活動ネタをやめます。就職活動自体は恐らく4月1日(気が変わると7月)に終わる予定なので、もう少し続けますが軸は極めてはっきりしたし、どの部分で判断するかも決めたので、後は人と会いながら微調整して、行きたい組織にチャレンジするだけです。最初の予想通り、足を使って人と会って考えるという一番基本的で不器用な方法で悩んできましたが、何周もして落ち着いてきました。

今後のネタとして、

・国債管理政策
・そろそろ解禁になる株について、何買おうかな
・簡易バリュエーションソフトの作成(頓挫する可能性高い)
・C++マスターへの道
・エキゾチック・オプションのプライシング
・勉強

を考えています。いい加減な話を展開したくないので、若干頻度が落ちるかと思いますがご了承ください。多分、今のレベルを脱却するにはそれなりの時間が必要です。この前の面接で「金融工学」の勉強不足を痛感しました。2時間の面接のうち、110分金融工学や周辺の数学、プログラミングの話だったので久しぶりに頭をフル回転しました。全員ベテランの方だったので、自身の勉強不足をことごとく痛感しましたが、何とか話にはついていけたようです。

追伸:前回の無理難題の件、解決しました。要は就職より仁義が大切だということです。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-12 02:37  

マジ疲れた

Rの企画のほうに出席、再び飲みに行ってallする予定が某外資によりあっさり崩れ去る。明日来いと、しかもジョブの日程まで知らせておきながら明らかに他のジョブを断れとの命令。Rのジョブは地下二階であったので10回近くも電話をかけていただいたのは大変申し訳ないと思っているけど、一次会の後だったので非常にテンションが下がり、メンバーの方々には非常に迷惑をかけたかもしれない。心配してくれてどうもありがとう。相談に乗ってくれたIもサンキュー。

断った分も入れたら4/5でジョブ、多すぎて時間がかかるのが最大の難点。日銀や国際協力銀行のエントリーに注力できにくい状況だが、来週末には絶対に整理する予定なのでYさんやKさんに書いたシートを見ていただこう。ジョブに行っていないところも来週最低三時間は拘束間違いないので注意が必要。まとめてやるのは、喜んでいいのか悲しんでいいのか・・・。

楽しく飲もうと思っていたときに限ってこういうことになるのだが、人生こういうときもある。さっさと寝て、明日早起きしよう。
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-10 01:46  

クレジット市場について、2005

デフォルト確率の算出やクレジットメトリクスの作り方は知っているのに、クレジット市場の現状を知らなかったのでフォローしてみたいと思います。外資の面接も終盤に向かう人が多いので、そろそろこういった知識をupしていきます。というのも、グループ面接の前に雑談でこぼした内容を面接でパクられるというビックリな出来事があったからです。幸い、途中でボロが出たのが僕的(面接官が数理系ならすぐわかるはず)に明確だったので助かりましたが、後味の悪い面接でした。とまぁ愚痴はおいといてと。

このブログ、greeだとリンクとか画像が見られないで外部ブログに移動してください。

2005年全体としては、一部の時期を除いてCDSスプレッドは低位で推移したといえるでしょう。要因は大きく3つありまして、e0046070_1195642.jpg

1.企業の堅調な収益や財務内容改善
2.投資家の利回り追求の動き
3.銀行の貸出姿勢の積極化

がその3つです。

①に関して、大きな流れとして間接金融→直接金融がありますが、財務的にいえば、自己資本比率の低下が進んでいます。特に、景気回復でお金が出来たのを借金返済等に回してその傾向が顕著になってきました。この傾向はここに詳しいです。


②長期金利が幾分上昇したとはいえ、総じて低水準にあることが基本的背景となってます。これはクレジット商品に限ったことではなくて、外貨資産に投資する投信などの増加もその表れでしょう。

③銀行が沢山貸すのは金余りだからですが、クレジット市場において銀行が信用リスクの供給手として主要な位置を占めていることが大きいです。イギリスでは銀行が信用リスクの51%を供給しているという調査もあります。

2006年以降、①③は若干薄れるのかなぁと思っています。①に関しては、景気回復が堅調になり企業も積極的に設備投資をしてきており、負債を若干増やす方向にあるのでクレジット・スプレッドがワイドニングする可能性は高まると考えています。③に関して、量的緩和解除→ゼロ金利解除の流れが濃厚になっており、引き締め傾向にあるので銀行貸出は設備投資動向がひと段落すると減少するのではないかということです。

②に関しては、複数の投資家動向を踏まえて話をしないといけません。基本的に、信用リスクを取るのは、ローン、社債、クレジットデリバティブがあるという話を以前しました。と書いていたらちょうどいいレポートを見つけたので、読んでから書いてみたいと思います。

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ということで、クレジット市場の投資家動向は宿題です。後、まとめてみたいと思っているのが金利の期間構造の話。平均回帰とか対数とかを利用した、多くのモデルがあるのですが、今の日本の金利構造は極めて特殊(コールオプションをロングしているときの図に似ています)なので、平均回帰モデルだと金利が負になり、ボラティリティが金利水準に依存するモデルだと短期金利の値が極めて小さくなってしまう欠陥があります。Gorovoi, V., and V. Linetsky[2004]は金利ボラティリティが小さくなり過ぎることを避けるとともに、、金利が負値を取る場合は金利をゼロとみなすというモデルを構築し、同モデルによって、わが国の金利の期間構造が説明可能であることを報告しています。

データは取れるはずなので、金利のイールドカーブを書いた上でモデルを構築する手順をたどてみたいのだが・・・、数式打って一々画像にして貼り付けるのは死ぬほど面倒なのでyahooのブリースケースにLATEXで作ったレジュメを載せたほうが早いが、それも労働コストが高い。どの道、就職先が決まってからですね。

おやすみなさい☆
(写真は今日のお昼ご飯と、晩御飯@六本木ヒルズです。昼はオリバーツイストを鑑賞。来週はミュンヘンを見よう♪)
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-09 01:41  

キャップエムは役に立つのかどうか

一度お話に出てきたCAPM。ファイナンスをやっている方ならば、一度はお目にかかったことがあるかと思います。別名、資本資産価格価格付けモデルとも言います。

E[r_i] - r_f = β (E[r_m] - r_f)

以上の式のようになります。要は、リスクフリーの国債からどれかけ超過リターンを得るのかは、マーケットとのβに比例するんだぞと。

当然いくつかの仮定があるわけで、
・完全競争市場(投資家はプライステイカー)
・一期間の投資を前提(多期間の動学的投資は想定していない)
・安全資産(リスクフリーな金融商品)があり、自由に貸借可能
・税金や取引コストがない、摩擦のない市場
・投資家のマーケットへの期待は同質的であり、マーコビッツの平均分散アプローチで投資する。

(一期間を想定していますが、株式市場の実証研究において株価収益率には継続的な自己相関が見られるので、こういった要因もCAPMの否定材料になりうるでしょう。)

以上のような仮定をしいています。となると、本当にあってるのか?という疑問が来るのは当然です。CAPMの算出における、3つの変数、r_f、β、E[r_m]、の算出においても論点が数多くありおもしろいのですが、今回は役に立つのかという疑問について、進んでいきます。

Eugene F. FamaとKeneth R. Frenchの有名な論文、"The Cross-Section of Expected Stock Returns." 1992, Journal of Finance  では、1941~1990年のニューヨーク取引所で売買されていた株のリターンとβにおける関係は弱く、CAPMは支持されないといったことが書かれています。特に、簿価/時価の高い企業の株価(要は割高)、時価の小さい小型株における、リターンがCAPMの予測値よりかなり高いことを実証し、これらを考慮した3ファクターモデルを考案しました。このモデルの詳細はおいといて、抜群に高い説明力を持ち一斉を風靡したのだが、理屈がないので工学的な指向が強いモデルであると言えます。ちなみに、株式のリターンは、時価総額と負の相関があり、簿価/時価比率とは正の相関があると結論付けています。さらに、上記2つを考慮に入れた場合、株式リターンを説明するのにβは役に立たないとまで書いてありました。

若干話がそれますが、株式市場におけるバリュー効果、小型株効果、といったアノマリーはここの話が発信じゃないかと思います。日本においても00~04年は小型・バリュー相場でした。

議論はまだまだ続きます。上で41~90年という半世紀近い期間の中で倒産した企業を除いて分析しているので、倒産しそうなレンジにおいてリターンが理論値より高くなるのは当然だろうという話が出てきました。これを「生き残りバイアス」と呼んでいます。この辺の論文はまだ読んでいないのですが、このページの中のBrownとGoetzmannの論文が有名で一読の価値ありです。とはいえ、これを考慮してもCAPMがいいとは書かれていませんでした。

CAPMを支持する論文にかんして、こちらがあります。5つほど重要な結論がありまして、後日読んでからまとめます。

と長々とつまらない話を書きましたが、CAPMは万能ではないにせよ、市場を理解する上で非常に大切な考え方なので理解すべきであると考えています。その勉強の中で、上記のような話を知っておくと市場への理解がより深まり、goodだろうという印象です。「共通言語」、言語ではないですが、その意味を習得した上で使用するのならとても有効なツールとなるのは間違いないでしょう。金融関係者なら知ってて当然という意味で、共通言語かもしれません。

5つの結論
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by tsuyoshi_829 | 2006-02-05 13:41