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JAL、航空機産業、新株予約権付社債

について、ウィキペディアによると、

新株予約権付社債(しんかぶよやくけんつきしゃさい)とは、社債の一種で、ワラント債とも呼ばれている。 普通社債と異なり、社債部分であるエクスワラントと利息を受け取るクーポンの他に、その社債を発行した会社の株式を決められた一定価格で買い取る権利が付いている。 この権利を新株予約権、若しくは、ワラントと呼ぶ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%A0%AA%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%A8%A9%E4%BB%98%E7%A4%BE%E5%82%B5


一番有名なのは、convertible bondで、転換社債型新株予約権付社債でしょうか。つい先日、こんなニュースがありました。

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 日本航空が最大2227億円規模の増資を実施する方針を固めた。みずほ証券とゴールドマン・サックス証券を主幹事とする公募増資となる見通しで、三十日午後に正式に決める。日航は安全トラブルや内紛で揺れ続けた経営の立て直しに向け、資本の増強で財務体質の健全化を急ぐ。

 日航は二〇〇四年に発行した社債に関連し、来春までに約一千億円の返済資金が必要になる見通し。だが、運航トラブルなどの影響で業績が悪化、自己資金で賄い切れなくなっている上、銀行からの借り入れ条件も厳しくなっており、増資で調達する資金を充当する。

 増資は当初、国内金融機関を引受先とする第三者割当増資も検討したが、交渉が難航。資金調達手段を公募増資に切り替えた模様。

 日航は〇四年四月に、航空機の更新や有利子負債返済のため、利率ゼロで一一年を満期とする転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行した。このCBは株式への転換価格を四百四十円と設定したほか、投資家は〇七年三月に期限前の償還を請求できる、とする条項が付いている。

 日航の株価は二十九日終値が転換価格を約百五十円以上下回る二百八十七円。CB発行後の約二年間をみても転換価格を百円以上下回る状態が続く。このため、来年三月まで株価の低迷が続き、CB保有者から償還の請求が殺到した場合に備え、返済原資を調達しておく必要があった。

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*日本航空 <9205> は30日、公募増資で最大2227億円を調達すると正式発表した。調達資金の全額を航空機の購入費に充てる。発行する新株は7億株で、増資後の発行済み株式総数は約26億8200万株となる。また、需給を調整するため、オーバーアロットによる株式売り出しとして、5000万株を追加発行する。 

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R&Iの評価

JALの増資、財務改善は評価できるが、収益回復が格付け維持の条件
日本航空(JAL、証券コード:9205、発行体格付け=BB+)は30日、7億株の公募増資とみずほ証券を引受先とする最大5000万株の第三者割当増資を行うと発表した。ただし、第三者割当増資については、国内一般募集の需要状況等を勘案し、実際の売出価格、売出株数を決定する。増資総額は約2000億円となり、全額航空機の購入に充当する予定である。
JALグループの連結総資産、自己資本は2006年3月期末で2兆1612億円、1481億円であり、今回の増資による財務構成の改善については一定の評価ができる。ただし、燃油価格の高騰や国内線の不振が続いており収益環境は今後も楽観できない。路線リストラ・機材のダウンサイジングやブランド力回復への取り組みの効果が出てくるまでには、相応の時間を要する。継続的に黒字を計上できる収支構造を確保することが格付け維持の条件であり、現段階では格付けへの影響は限定的と考える。

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素人意見ですが、株価の図を見る限り、オプション価値は0に等しいのに、利率0で引き受けるなんて何を考えているのだろう?と思います。この会社の資金調達は普通の会社とはかなり違うので何かあるのかと勘ぐりたくなります。こちらを見ると、借入金を出している企業が見えます。政策投資だけじゃなくてJBICも貸しているはずでしたが・・、まぁ細かい話ですね。政策投資銀行は昨年の政府系金融改革の中で民営化が決定し、国債に対するスプレッドが上昇(財投機関債)したため、JALがピンチになっているのは懐かしい話です。にしても約3300億円ですか。

JALの連結の負債の部分を見てみると、(負債比率91.8%)
長期借入金:約8000億円、社債:2800億円、負債合計19857億円、とあります。上記の図にあるような株価で転換する人はいない(転換価格440円)はずなので、そのうち1000億円を投資家から償還請求される恐れがあるということです。CB発行して株式にならず、公募増資するなんて、JALの株式の不人気さを感じます。新株は7億株と決定しているので、額がいくらになるか興味深いところです。契約について詳しくないのですが、本当に航空機を買うのでしょうか??まさかジャンボ!?航空機買っても赤字が継続し、借金返済のためのリファイナンスに苦労し、資産である航空機を売却したりしたらもったいないよなぁと思います。

JALに限らず、航空機産業は厳しい状況で、航空機は高いし、燃料費の高騰で経営努力は水の泡。あるのは空へのロマン。

ブラジルで、以下のニュースがありました。

【サンパウロ/ブラジル 27日 AFP】
ブラジル空港管理公社(Infraero)の発表によると、バリグ・ブラジル航空(Varig)は26日、国内線、国際線合わせてさらに少なくとも113便が欠航となっている。同社は現在30億ドル(約3500億円)を超える負債を抱え、1年前保有していた旅客機70機は、現在では20機にまで減らされている。約1万600人の従業員に対する給与も未払いのまま。欠航により、世界でおよそ3万人の乗客が空港に足止めされたことになる。

e0046070_452378.gif最後に、CB市場について、当然ですが株式に転換できるオプションを含むため、株式市場が好調でないと出しにくい商品です。新聞なんかを読んでいても利率0のケースが多いようです。CB市場の銘柄数と時価総額の時系列を右に載せます。ちょっとCBの知識が疎いのですが、エージェンシーコストを下げる効果もあり、転換価格がfixedなのもあり、もう少し流行ってもいいのかなぁと思っています(MSCBはCBに入れてません)。引き受け側が嫌がるのか、既存株主が嫌がるのを察して発行側がやりたがらないのか、ピンと来ないので本を探してみよう、あればいいけど・・・。エクイティファイナンスの本って、案外少ないから結局論文を読む羽目になるのかもしれない。
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by tsuyoshi_829 | 2006-07-03 05:02  

企業金融入門2

前回、http://kktsuyoshi.exblog.jp/m2006-04-01/#3149439にて、MM命題と、法人税と倒産コストを考慮した場合のtrade-off理論を簡単に紹介しました。MM命題とは、3つの無関連性命題からなり、

1.資本構成の無関連性(資本構成のみ異なる企業は企業価値が等しい)
2.資金調達手段の無関連性(新株発行、負債、内部留保、どれでも資本コストは等しい)
3.配当政策の無関連性(配当しても、現在の株価や企業価値に影響を与えない)

上記のようになっています。法人税と倒産コストを考慮すると、前回太字で書いたようなトレードオフにより資本構成が決定されます。とはいえ、2点を勘案しても、情報の完全性は成立しています。今回ご紹介したいのは、情報の不完全性と資本構成の関わりです。不完全性とは、市場参加者により想定される確率分布がそれぞれ異なっている状態を指します。こうした状況下、企業は市場参加者より情報優位な立場になります。さらに、いつの時点で企業が情報優位になるかによって、情報の不完全性の問題は2つに分けられます。

情報の不完全性と資本構成について、簡単に図にしました(以下のとおり)。
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次回から、一つずつでもいいのでご紹介できたらと思います。

そういえば、シグナルの部分なんかは1回生の頃勉強していたゲーム理論とも関連が深いので、「経済学のためのゲーム理論入門」を取り出して復習してみることにします。先週、当時お世話になっていた先生に2年ぶりにお会いし近況報告をしましたが、お元気そうでなにより。自分が大学に入ってもう3年も経つのだなぁと実感した一日でした。

今日、犬の散歩の前に買物に出かけた時、自動車に当たられました(><)自転車で右側通っているときは横から出てくる車に気をつけないと・・・
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-28 23:01  

Conflicts between Equityholders and Managers

Harris and Raviv(1990)は、投資家が企業の清算を選好したとしても、経営者は企業経営を続けたいと考えていると想定した。Stulz(1990)においては、投資家にとって借金返済のための現金支払いがよいとしても、経営者は全ての可能な案件に投資したいものだと想定している。両方のケースにおいて、キャッシュフローや投資費用に基づく契約を通じて利害対立が解決できないと考えられている。負債は、Harris and Ravivの問題に対して、もしキャッシュフローが不足したら清算を強いる権利を投資家(債権保有者)に与えることにより問題を緩和している。Stulzにおいては、負債の利払いがfree cash flowを減少させることで問題を緩和している。Harris and Ravivでは、破産を通じての投資家からの管理による主張は、企業業績に関して、清算の決定に使用される、情報生産に関連したコストを必然的に伴うとしている。Stulzのモデルにおける負債の費用に関して、債務返済費用はより多くの"free" cashを消耗し、利益性のある投資に利用可能な資金を減少させる。以下に各モデルの比較図を載せます(外部ブログに移動ください)。
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Harris and Ravivにおける最適資本構成は、改善された清算の意思決定とより高くなる調査コストのトレード・オフによって決定される。負債を増加させるとデフォルトしやすくなるので、清算の意思決定がより合理的になる。デフォルト・フリーを想定すると、もし他の最適な資産利用より悪い資産利用をしてaseetが棄損しても会社が倒産することはないだろうと経営者は考える。しかしながら、デフォルトを想定すると、投資家は清算決定を管理し、決定のための追加的情報を得るために費用を払う。投資家は手に入れた情報に基づいて最適な清算決定を選択するので、デフォルトの存在はこの決定を改善させる。より頻繁なデフォルトを想定すると、情報探索コストは上昇する。

Harris and Ravivモデルは以下を示唆する。より高い清算価値(有形固定資産が多いなど)を持ち情報探索コストがより安い企業は、逆の条件の企業と比較して、高い市場価値であり、負債比率が高く、デフォルト確率が高くなるだろうと。高い負債レベルに関する直感的理解は、清算価値の増加が清算確率を上昇させるということである。従って、企業のデフォルトに関する情報は有用であり、同時に高い負債レベルを要求する。また、企業が再編成する確率は清算価値と共に減少し、その確率は情報探索コストとは独立である。

Stulzにおける最適資本構成は、価値棄損プロジェクトの投資を負債が阻害するbenefitと価値創造プロジェクトにおける投資を阻害する負債のcostのトレード・オフによって決定される。従って、豊富な良い投資機会を持つ企業は成熟企業と比較して、より低い負債を持つだろう。成熟企業とは、低成長でキャッシュ・リッチという意味合いである。さらに、一般的に、経営者は最適負債レベルへの到達をしぶしぶ実行するが、敵対的買収の恐れが強まると、最適負債レベルへの到達が行われやすい。従って、敵対的買収の標的になる確率の高い企業はより負債を増やすことが期待されるし、他の事情が同じならば、敵対的買収の標的になる確率の低い企業は負債を減らすだろう。最後に、企業価値を破壊する価値減少投資よりも企業価値を増加させる価値創造投資機会を持つ企業は、逆の状況の企業より少ない負債を持つだろう。
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-07 23:47  

Agency costs(導入)

Models Based on Agency Costse0046070_20152926.jpg
Jensen and Meckling(1976) は2つのタイプの利害対立を報告している。株主vs経営者、株主vs債権保有者,である。

株主と経営者の利害対立が起こる原因は、経営者が100%の残余請求権を保持していないからである。経営者は経営資源の管理において、より少ない投資をすることが可能であり、経営資源を自身に移転することが可能である。例えば、社用ジェット機や豪華なオフィスに会社のお金を使うことによって。経営者はこうした活動を控えることによる費用の全額を負担することになるが、その便益をまるまる受け取ることが出来ない。従って、企業価値が最大化する状態と比較して、経営者自身の欲求を満足させるように好き勝手に振舞うのである。企業価値という点から非効率であるが、経営者の保有株式比率が上がれば上がるほど、非効率性は衰退するであろう。さらに、Jensen(1986)が指摘するように、負債は企業の借金返済をコミットさせるので、上記の非効率な活動に使用される"free" cashを減少させる。株主と経営者の利害対立に起因する非効率性の緩和は、デッドファイナンスの便益のうちの一つである。

もう一つの利害対立は株主と債権保有者である。株主と債権保有者の利害対立は大きく3つに分けられる。overinvestment,underinvestment,asset subustitutionである。ここでは、経営者は株主利益を最大化させる存在であることが仮定されていることに注意が必要である。利害対立の原因は、債権契約が株主に最適でない投資をする誘因を与えることによる。具体的にいうと、負債契約を結ぶと、もし投資が莫大な利益(負債の額面を大きく上回るような)を生むならば、株主は利益の大半を獲得するだろうということである。しかしながら、もし投資が失敗したら、株主の有限責任により、債権保有者が結果を負担するだろう。結果として、債権者から株主へ利益移転が発生する。上述した投資は、非常に危険であり企業価値を下げるものである。そうした投資は負債の価値を減少させ、その投資による株式価値の減損分は債権保有者の犠牲により得られる利益によって相殺されるだろう(それ以上の結果になることもある)。しかしながら、overinvestmentにおける株主の行動を予測した、合理的債権保有者を想定すると、最終的にこのコストは株主が負担することになる。従って、負債によって生まれた価値を棄損するプロジェクトに投資するインセンティブの費用負担は、負債を発行する株主から発生するものである。この効果は、一般的に「aseet substitution effect」と呼ばれ、負債の資金調達におけるエージェンシー・コストの一つである。

Jensen and Meckling(1976)は、最適資本構成は負債のエージェンシー・コストと負債の節税効果のトレード・オフにより決定されると主張した。implicationsは以下の通りである。1.asset subustitution effectを防止するような工夫、利回りを上げる、危険な新規投資の禁止などを含んだ債権契約が予想される。2.asset subustitutionの機会が限定される業界はより高いレバレッジを持つだろう。3.成熟しており、潤沢なキャッシュ・フローを持つ企業はより多くの負債を持つべきである。潤沢なキャッシュ・フローを持ち投資機会に恵まれない企業は、empiresを造り、従業員に過剰な給料を支払う恐れがあるからである。こうした状況にある業界は、鉄鋼、化学、醸造酒、タバコ、テレビ・ラジオ放送、製紙業界などである。この理論は、こうした業界は高いレバレッジにすべきであると示唆している。

参考文献:"Theory of the Firm: Managerial behavior, agency costs and ownership structure" Jensen and Meckling(1976)
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-07 20:17