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JAL、航空機産業、新株予約権付社債

について、ウィキペディアによると、

新株予約権付社債(しんかぶよやくけんつきしゃさい)とは、社債の一種で、ワラント債とも呼ばれている。 普通社債と異なり、社債部分であるエクスワラントと利息を受け取るクーポンの他に、その社債を発行した会社の株式を決められた一定価格で買い取る権利が付いている。 この権利を新株予約権、若しくは、ワラントと呼ぶ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%A0%AA%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%A8%A9%E4%BB%98%E7%A4%BE%E5%82%B5


一番有名なのは、convertible bondで、転換社債型新株予約権付社債でしょうか。つい先日、こんなニュースがありました。

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 日本航空が最大2227億円規模の増資を実施する方針を固めた。みずほ証券とゴールドマン・サックス証券を主幹事とする公募増資となる見通しで、三十日午後に正式に決める。日航は安全トラブルや内紛で揺れ続けた経営の立て直しに向け、資本の増強で財務体質の健全化を急ぐ。

 日航は二〇〇四年に発行した社債に関連し、来春までに約一千億円の返済資金が必要になる見通し。だが、運航トラブルなどの影響で業績が悪化、自己資金で賄い切れなくなっている上、銀行からの借り入れ条件も厳しくなっており、増資で調達する資金を充当する。

 増資は当初、国内金融機関を引受先とする第三者割当増資も検討したが、交渉が難航。資金調達手段を公募増資に切り替えた模様。

 日航は〇四年四月に、航空機の更新や有利子負債返済のため、利率ゼロで一一年を満期とする転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行した。このCBは株式への転換価格を四百四十円と設定したほか、投資家は〇七年三月に期限前の償還を請求できる、とする条項が付いている。

 日航の株価は二十九日終値が転換価格を約百五十円以上下回る二百八十七円。CB発行後の約二年間をみても転換価格を百円以上下回る状態が続く。このため、来年三月まで株価の低迷が続き、CB保有者から償還の請求が殺到した場合に備え、返済原資を調達しておく必要があった。

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*日本航空 <9205> は30日、公募増資で最大2227億円を調達すると正式発表した。調達資金の全額を航空機の購入費に充てる。発行する新株は7億株で、増資後の発行済み株式総数は約26億8200万株となる。また、需給を調整するため、オーバーアロットによる株式売り出しとして、5000万株を追加発行する。 

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R&Iの評価

JALの増資、財務改善は評価できるが、収益回復が格付け維持の条件
日本航空(JAL、証券コード:9205、発行体格付け=BB+)は30日、7億株の公募増資とみずほ証券を引受先とする最大5000万株の第三者割当増資を行うと発表した。ただし、第三者割当増資については、国内一般募集の需要状況等を勘案し、実際の売出価格、売出株数を決定する。増資総額は約2000億円となり、全額航空機の購入に充当する予定である。
JALグループの連結総資産、自己資本は2006年3月期末で2兆1612億円、1481億円であり、今回の増資による財務構成の改善については一定の評価ができる。ただし、燃油価格の高騰や国内線の不振が続いており収益環境は今後も楽観できない。路線リストラ・機材のダウンサイジングやブランド力回復への取り組みの効果が出てくるまでには、相応の時間を要する。継続的に黒字を計上できる収支構造を確保することが格付け維持の条件であり、現段階では格付けへの影響は限定的と考える。

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素人意見ですが、株価の図を見る限り、オプション価値は0に等しいのに、利率0で引き受けるなんて何を考えているのだろう?と思います。この会社の資金調達は普通の会社とはかなり違うので何かあるのかと勘ぐりたくなります。こちらを見ると、借入金を出している企業が見えます。政策投資だけじゃなくてJBICも貸しているはずでしたが・・、まぁ細かい話ですね。政策投資銀行は昨年の政府系金融改革の中で民営化が決定し、国債に対するスプレッドが上昇(財投機関債)したため、JALがピンチになっているのは懐かしい話です。にしても約3300億円ですか。

JALの連結の負債の部分を見てみると、(負債比率91.8%)
長期借入金:約8000億円、社債:2800億円、負債合計19857億円、とあります。上記の図にあるような株価で転換する人はいない(転換価格440円)はずなので、そのうち1000億円を投資家から償還請求される恐れがあるということです。CB発行して株式にならず、公募増資するなんて、JALの株式の不人気さを感じます。新株は7億株と決定しているので、額がいくらになるか興味深いところです。契約について詳しくないのですが、本当に航空機を買うのでしょうか??まさかジャンボ!?航空機買っても赤字が継続し、借金返済のためのリファイナンスに苦労し、資産である航空機を売却したりしたらもったいないよなぁと思います。

JALに限らず、航空機産業は厳しい状況で、航空機は高いし、燃料費の高騰で経営努力は水の泡。あるのは空へのロマン。

ブラジルで、以下のニュースがありました。

【サンパウロ/ブラジル 27日 AFP】
ブラジル空港管理公社(Infraero)の発表によると、バリグ・ブラジル航空(Varig)は26日、国内線、国際線合わせてさらに少なくとも113便が欠航となっている。同社は現在30億ドル(約3500億円)を超える負債を抱え、1年前保有していた旅客機70機は、現在では20機にまで減らされている。約1万600人の従業員に対する給与も未払いのまま。欠航により、世界でおよそ3万人の乗客が空港に足止めされたことになる。

e0046070_452378.gif最後に、CB市場について、当然ですが株式に転換できるオプションを含むため、株式市場が好調でないと出しにくい商品です。新聞なんかを読んでいても利率0のケースが多いようです。CB市場の銘柄数と時価総額の時系列を右に載せます。ちょっとCBの知識が疎いのですが、エージェンシーコストを下げる効果もあり、転換価格がfixedなのもあり、もう少し流行ってもいいのかなぁと思っています(MSCBはCBに入れてません)。引き受け側が嫌がるのか、既存株主が嫌がるのを察して発行側がやりたがらないのか、ピンと来ないので本を探してみよう、あればいいけど・・・。エクイティファイナンスの本って、案外少ないから結局論文を読む羽目になるのかもしれない。
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by tsuyoshi_829 | 2006-07-03 05:02  

今日は大掃除

前回、製造業の業種間の負債比率(簿価)が拡大しているということを確認したので、非製造業でも実験してみました。結果は以下のとおりです。e0046070_8505246.gif
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非製造業で100%を超えているのがありますが(農林水産業とかです)、確かに見てみると総資産より負債の方が多いです。これは時価じゃなくて簿価で見てるからこんなふうになるのか・・・ちょっと調べてみたいところです。いずれにせよ、負債比率の差は拡大傾向にありますが、これは業種間の差が拡大したということであり、サンプルの20000企業の差が拡大したことを示すものではありません。

ちなみに、前回の非製造業版も以下に載せておきます。
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情報通信の負債比率が低いのは直感に合うところですが、ガスとか水道辺りの1970年辺りの変化の仕方は気になるところです。米国の事例とみると、法人化とか民営化が絡んできたりするみたいです。東京ガスや大阪ガスのwebページ見てみると、ちょうどこの頃、液化天然ガスの導入を開始した時期とあります。まさか、LNG買う資金を負債で調達??

さて、次回はデットファイナンス、エクイティファイナンスとあるのですが具体的にどういう行為を指していて、その行為が市場に与えるインパクトや意味について考察してみたいと思います。大学で新聞の過去記事をダウンロードするやり方をやっとマスターしたので、出来れば具体例とかを交えて考察を深められたらなおよしという所です。この辺りはまだまだ勉強不足なので本買って勉強しなければ・・・。プロである「融資請負人」の意見を聞きたいなぁ・・。

おっと、呼ばれたので掃除を手伝わないと☆
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by tsuyoshi_829 | 2006-06-25 09:20  

寝る前に

卒論とは別個に勝手に実証で、データをいじくっている日々が続いています。最初は時間がかかっていたが、エクセルのスピードも格段に上がり、無駄な行為が減っている今日この頃。この前、東証33業種別負債比率ランキングを載せた(http://kktsuyoshi.exblog.jp/m2006-04-01#3320627)けど、下二つがよく理解できなかったので考えてみた。

医薬品とか、通信業って負債比率低いけど、これは有利子負債が少ないから低いのか、それともそれ以外の負債が少ないのかな?そもそも業種ごとに負債比率と有利子負債比率って関連があるんやろうか?と思って以下のグラフを作成してみた。比率の分母は総資産。
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上の図(外部ブログ)を見てみると、医薬品では有利子負債と負債の関係が綺麗に出たけど、通信業ではそこまでという印象。業界全体では、金融業は当然フィットしていない。これは、銀行のバランスシート見たら一目瞭然だけど、「預金」は有利子負債に入らないので納得できる。その他金融に関しては、負債に占める有利子負債の割合が高い、この高い部分は主にリース業による。医薬品の有利子負債、通信業の負債が低い理由に関して「投資機会」に答えを求めてみるか、fama and frenchのように「研究開発費」を入れてみるか、時間があれば両方やって検証してみたいところ。とにかく、通信業というかIT、全く知識がないのでこの際勉強してみてもいいかもしれない。時代遅れでいるのは学生で終わりにしないと・・・

上記とは別に考えていることがあって、EQUITY,DEBTどちらにしろ市場が成長しており、過去に比べて、企業及び業種間の負債比率の差が拡大しているのでは?と考えていたのでこちらもチェック。データの出所は法人企業統計。平均的には、http://kktsuyoshi.exblog.jp/m2006-06-01/#3618701で示したように、低下傾向にあります。調べた結果は以下のグラフ(クリックすると綺麗に表示されます)のとおりです。確かに差が拡大傾向にありますが、背景がまだよく理解できないので図書館で調べてみないと・・・。さっきは比較的負債比率の低いところをチェックしてたけど、こうしてみると負債が減っていない業界も気になるところです。成熟業界??

ちなみに、今回は製造業に絞っています、残りは時間があった時にまた調べてみます。では、おやすみなさい☆

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by tsuyoshi_829 | 2006-06-22 04:23  

企業金融入門2

前回、http://kktsuyoshi.exblog.jp/m2006-04-01/#3149439にて、MM命題と、法人税と倒産コストを考慮した場合のtrade-off理論を簡単に紹介しました。MM命題とは、3つの無関連性命題からなり、

1.資本構成の無関連性(資本構成のみ異なる企業は企業価値が等しい)
2.資金調達手段の無関連性(新株発行、負債、内部留保、どれでも資本コストは等しい)
3.配当政策の無関連性(配当しても、現在の株価や企業価値に影響を与えない)

上記のようになっています。法人税と倒産コストを考慮すると、前回太字で書いたようなトレードオフにより資本構成が決定されます。とはいえ、2点を勘案しても、情報の完全性は成立しています。今回ご紹介したいのは、情報の不完全性と資本構成の関わりです。不完全性とは、市場参加者により想定される確率分布がそれぞれ異なっている状態を指します。こうした状況下、企業は市場参加者より情報優位な立場になります。さらに、いつの時点で企業が情報優位になるかによって、情報の不完全性の問題は2つに分けられます。

情報の不完全性と資本構成について、簡単に図にしました(以下のとおり)。
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次回から、一つずつでもいいのでご紹介できたらと思います。

そういえば、シグナルの部分なんかは1回生の頃勉強していたゲーム理論とも関連が深いので、「経済学のためのゲーム理論入門」を取り出して復習してみることにします。先週、当時お世話になっていた先生に2年ぶりにお会いし近況報告をしましたが、お元気そうでなにより。自分が大学に入ってもう3年も経つのだなぁと実感した一日でした。

今日、犬の散歩の前に買物に出かけた時、自動車に当たられました(><)自転車で右側通っているときは横から出てくる車に気をつけないと・・・
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-28 23:01  

Conflicts between Equityholders and Managers

Harris and Raviv(1990)は、投資家が企業の清算を選好したとしても、経営者は企業経営を続けたいと考えていると想定した。Stulz(1990)においては、投資家にとって借金返済のための現金支払いがよいとしても、経営者は全ての可能な案件に投資したいものだと想定している。両方のケースにおいて、キャッシュフローや投資費用に基づく契約を通じて利害対立が解決できないと考えられている。負債は、Harris and Ravivの問題に対して、もしキャッシュフローが不足したら清算を強いる権利を投資家(債権保有者)に与えることにより問題を緩和している。Stulzにおいては、負債の利払いがfree cash flowを減少させることで問題を緩和している。Harris and Ravivでは、破産を通じての投資家からの管理による主張は、企業業績に関して、清算の決定に使用される、情報生産に関連したコストを必然的に伴うとしている。Stulzのモデルにおける負債の費用に関して、債務返済費用はより多くの"free" cashを消耗し、利益性のある投資に利用可能な資金を減少させる。以下に各モデルの比較図を載せます(外部ブログに移動ください)。
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Harris and Ravivにおける最適資本構成は、改善された清算の意思決定とより高くなる調査コストのトレード・オフによって決定される。負債を増加させるとデフォルトしやすくなるので、清算の意思決定がより合理的になる。デフォルト・フリーを想定すると、もし他の最適な資産利用より悪い資産利用をしてaseetが棄損しても会社が倒産することはないだろうと経営者は考える。しかしながら、デフォルトを想定すると、投資家は清算決定を管理し、決定のための追加的情報を得るために費用を払う。投資家は手に入れた情報に基づいて最適な清算決定を選択するので、デフォルトの存在はこの決定を改善させる。より頻繁なデフォルトを想定すると、情報探索コストは上昇する。

Harris and Ravivモデルは以下を示唆する。より高い清算価値(有形固定資産が多いなど)を持ち情報探索コストがより安い企業は、逆の条件の企業と比較して、高い市場価値であり、負債比率が高く、デフォルト確率が高くなるだろうと。高い負債レベルに関する直感的理解は、清算価値の増加が清算確率を上昇させるということである。従って、企業のデフォルトに関する情報は有用であり、同時に高い負債レベルを要求する。また、企業が再編成する確率は清算価値と共に減少し、その確率は情報探索コストとは独立である。

Stulzにおける最適資本構成は、価値棄損プロジェクトの投資を負債が阻害するbenefitと価値創造プロジェクトにおける投資を阻害する負債のcostのトレード・オフによって決定される。従って、豊富な良い投資機会を持つ企業は成熟企業と比較して、より低い負債を持つだろう。成熟企業とは、低成長でキャッシュ・リッチという意味合いである。さらに、一般的に、経営者は最適負債レベルへの到達をしぶしぶ実行するが、敵対的買収の恐れが強まると、最適負債レベルへの到達が行われやすい。従って、敵対的買収の標的になる確率の高い企業はより負債を増やすことが期待されるし、他の事情が同じならば、敵対的買収の標的になる確率の低い企業は負債を減らすだろう。最後に、企業価値を破壊する価値減少投資よりも企業価値を増加させる価値創造投資機会を持つ企業は、逆の状況の企業より少ない負債を持つだろう。
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-07 23:47  

Agency costs(導入)

Models Based on Agency Costse0046070_20152926.jpg
Jensen and Meckling(1976) は2つのタイプの利害対立を報告している。株主vs経営者、株主vs債権保有者,である。

株主と経営者の利害対立が起こる原因は、経営者が100%の残余請求権を保持していないからである。経営者は経営資源の管理において、より少ない投資をすることが可能であり、経営資源を自身に移転することが可能である。例えば、社用ジェット機や豪華なオフィスに会社のお金を使うことによって。経営者はこうした活動を控えることによる費用の全額を負担することになるが、その便益をまるまる受け取ることが出来ない。従って、企業価値が最大化する状態と比較して、経営者自身の欲求を満足させるように好き勝手に振舞うのである。企業価値という点から非効率であるが、経営者の保有株式比率が上がれば上がるほど、非効率性は衰退するであろう。さらに、Jensen(1986)が指摘するように、負債は企業の借金返済をコミットさせるので、上記の非効率な活動に使用される"free" cashを減少させる。株主と経営者の利害対立に起因する非効率性の緩和は、デッドファイナンスの便益のうちの一つである。

もう一つの利害対立は株主と債権保有者である。株主と債権保有者の利害対立は大きく3つに分けられる。overinvestment,underinvestment,asset subustitutionである。ここでは、経営者は株主利益を最大化させる存在であることが仮定されていることに注意が必要である。利害対立の原因は、債権契約が株主に最適でない投資をする誘因を与えることによる。具体的にいうと、負債契約を結ぶと、もし投資が莫大な利益(負債の額面を大きく上回るような)を生むならば、株主は利益の大半を獲得するだろうということである。しかしながら、もし投資が失敗したら、株主の有限責任により、債権保有者が結果を負担するだろう。結果として、債権者から株主へ利益移転が発生する。上述した投資は、非常に危険であり企業価値を下げるものである。そうした投資は負債の価値を減少させ、その投資による株式価値の減損分は債権保有者の犠牲により得られる利益によって相殺されるだろう(それ以上の結果になることもある)。しかしながら、overinvestmentにおける株主の行動を予測した、合理的債権保有者を想定すると、最終的にこのコストは株主が負担することになる。従って、負債によって生まれた価値を棄損するプロジェクトに投資するインセンティブの費用負担は、負債を発行する株主から発生するものである。この効果は、一般的に「aseet substitution effect」と呼ばれ、負債の資金調達におけるエージェンシー・コストの一つである。

Jensen and Meckling(1976)は、最適資本構成は負債のエージェンシー・コストと負債の節税効果のトレード・オフにより決定されると主張した。implicationsは以下の通りである。1.asset subustitution effectを防止するような工夫、利回りを上げる、危険な新規投資の禁止などを含んだ債権契約が予想される。2.asset subustitutionの機会が限定される業界はより高いレバレッジを持つだろう。3.成熟しており、潤沢なキャッシュ・フローを持つ企業はより多くの負債を持つべきである。潤沢なキャッシュ・フローを持ち投資機会に恵まれない企業は、empiresを造り、従業員に過剰な給料を支払う恐れがあるからである。こうした状況にある業界は、鉄鋼、化学、醸造酒、タバコ、テレビ・ラジオ放送、製紙業界などである。この理論は、こうした業界は高いレバレッジにすべきであると示唆している。

参考文献:"Theory of the Firm: Managerial behavior, agency costs and ownership structure" Jensen and Meckling(1976)
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-07 20:17  

マーケット・タイミング仮説(続き)

課題を以下に残しておきます。(前回のは大幅に修正しました。)

・“external finance weighted-average”の解釈が不十分なので、Rajan and zingales(1995)を参照する。
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・マーケット・タイミングの持続的効果についての検証が若干不十分と思われるので、以下を参照して考察を深める。
“How Persistent Is The Impact of Market Timing on Capital Structure?”
“Testing the Market Timing Theory of Capital Structure”
特に、マーケット・タイミングで一時的に資本構成が最適資本構成(存在すると仮定)から大きくそれたときに、長期的に戻るのかどうかは分析不足であると感じた。

・IPOからの分析だけでなく、現存する企業においても同様のことが発生するのだろうか?生き残りバイアスの回避の仕方に工夫の余地があるのかもしれない。

・本論文では、エクイティ・ファイナンスに焦点を当てているが、資金調達の選択問題として、その時の金利、ないしは金利の変化率を勘案したモデルに発展出来ないだろうか。

何やら課題がドンドン増えてくるが、前期は拡散系で行きましょう☆
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-06 21:31  

マーケット・タイミング仮説

Market Timing and Capital Structure (MALCOLM BAKER and JEFFREY WURGLER,2002,journal of finance)

企業金融において、equity market timingとは株価が高いときに株式発行し低いときに自社株買いをする事を指していた。意図するところとしては、他の資金調達より株式資本コストが低いときに、一時的な株価の変動から利益を搾取することである。MM命題によると、いくつかの仮定をしいた市場において、各資金調達の資本コストは同じであり企業価値は資本コストによらないとある。対照的に、現実のマーケットは非効率・不完全性を有しているので、market timingにより既存の株主から利益を得ることができる。従って、もしmarket timingが可能であり、そこから派生する利益が既存の株主より重要であるならば、market timingをする動機を持つことになる。

実際、equity market timingは企業の資金調達政策において重要な一面であるだろう。market timingが重要であることを示す以下の4種類の証拠を列挙する。

1.企業の資金調達決定は、簿価や過去の時価に対する現在の時価が高いときに増資し、低いときに自社株買いを行う傾向がある。
2.資金調達決定に従う長期の株価の収益率は株のマーケットタイミングが平均的に成功していることを示す。
3.株式発行における収益の予想と実現からすると、投資家が株式に熱狂的になっている時に株式を発行する傾向がある。
4.恐らくもっとも説得力のあるのだが、経営者は匿名調査においてマーケットタイミング説を認めている。Graham and Harvey(2001)の分析によると、2/3のCFOが自身の株価がovervalued or undervaluedされることは、重大であるないしは重大な関心事であるとなっている。


この論文では、equity market timingが資本構成に影響を与えるのかどうか、equity market timingは長期or短期どちらのインパクトを資本構成に与えるか、ということを問うたものである。予想としては、最低でも短期的なインパクトはあるだろうと期待している。しかしながら、(短期的にインパクトがあったとして)続いて最適資本構成に基づき資本構成をリバランスするのなら、equity market timingは長期的なインパクトを与えることはないだろう。従って、資本構成におけるequity market timingの重要性は実証的なissueである。

実証分析の結果、equity market timingは大きくかつ持続的な影響を資本構成に与えていることがわかった。主な発見は、低レバレッジ企業はmarket valuationsが高いときに株式発行し、高レバレッジ企業はmarket valuationsが低いときに株式発行するというものである。我々はこのことを伝統的な資本構成の回帰分析において実証した。Leverageは従属変数であり、”external finance weighted-average” M/B*比は独立変数である。後者の数字に関して、例えばM/Bが高いときに外部資金調達をすると、後者の値は高くなる。詳細は後述する。基本的な回帰分析の結果、過去のmarket valuationsの測度(M/B)とレバレッジは強い負の関係があることがわかった。

資本構成における過去のmarket valuationsの影響は経済学的に重要であり、統計学的にもしっかりとしている。これは、レバレッジが簿価であろうと時価であろうと、従属変数に様々な財務変数が含まれていてもいなくても、上記の関係は明白である。また、上記の関係は極めて持続的なものである。我々はこの関係を3つの方法でテストした。

Test ① 
レバレッジと現在のM/Bの関係を検証する

Test ②
回帰分析において、IPO時の資本構成のレベルを検証し、後に続くmarket valuationsの変化がどのようにIPO時の資本構成を変化させるか観察する。

Test ③
加重平均M/B変数のラグを取った値がどういった影響を与えるのか

過去のmarket valuesが与えるインパクトは10年以上の半減期(half-life…全体の半分がある変成をうけるに要する時間)を持つことがわかった。例えば、2000年現在の資本構成は、1990年及びそれ以前のM/Bの変動に強く依存する。

計算結果によると、市場価値の変動は資本構成に長期的なインパクトをもたらすが、この結果をtraditionalな資本構成の枠組みで説明するのは難しい。

trade-off theoryにおいては、M/Bは投資機会、リスク、エージェンシー、など最適資本構成を決める指標のひとつである。trade-off theoryによると、M/Bの一時的な変動は資本構成に対して一時的な効果しか与えないという解釈になる。

pecking order theory によると、逆選択は経営者に新株発行を完全に避けるように導く。動学的に考えると、やがて現れる投資機会に恵まれた企業は将来の株式発行を避けるため にレバレッジを下げるかもしれない。それでもしかし、pecking order theoryがレバレッジと過去の投資機会の関係を説明するとは想像し難い。

managerial entrenchment theory によると、高いマーケットの評価は経営者が株式を加えるだけでなく、経営を既得権益化するとある。一部我々の理論と整合性を持つが、この理論は、既存の投資家に対して事後的にではあるが負債を用いたリバランスによらない搾取を行うとしている。

我々の見解によると、この結果に対する単純で現実的な説明は以下のとおりである。
“Capital structure is the cumulative outcome of attempts to time the equity market.”

我々の分析結果の背後にある、equity market timingの見解は大きく2つに分けられる。1つ目は、合理的な経営者と投資家を前提とした、Myers and Majluf(1984)の動学的バージョンである。逆選択の程度は企業や時期によって変わり、M/Bとは逆比例の関係にある。2つ目は、経営者は投資家を非合理的だと思い、株式コストが異常に低いときに株式で資金調達をする。2つ目は、もしM/Bが、経営者が株式のover(under)valuedを考える代理変数となるのなら、我々の結果を説明できる。過去の評価の持続的な実際の効果を説明するためには2つとも、調整コスト(恐らく逆選択と関連性のある)がmarket timingの機会損失を減少させることが必要条件となるだろう。我々の分析は上記の2つを分解できないが、earnings management evidenceや長期株式のリターンは後者に属するものである。


*・・・market value/book value 
=(総資産-自己資本(簿価)+自己資本(時価))/総資産

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分析データについて、
・SICコードの6000~6999(金融業)は削除
・資産の簿価の最低額が10億ドルを切る企業は削除
(日本だと、2958/3111が残る、意外にも企業の総資産は大きい。)
・IPO以降のデータが不完全なのも削除
・資本構成やM/Bが大きく外れている(outlier)のも削除

分析期間:IPO~IPO+10、1968~1998年
IPO   :2839
IPO+1 :2652
IPO+3 :2412
IPO+5 :1668
IPO+10:715              (社数)

企業数が減っている理由は、M&A、倒産、データが1999年までで終わっていること、などである。

財務指標等の定義(fama and french(2002)と同じ定義)

負債の簿価:=総資産-自己資本(簿価)
自己資本(簿価):=総資産-負債総額+優先株式+繰り延べ税金+転換社債
レバレッジ(簿価):=負債の簿価/総資産
レバレッジ(時価):=負債の簿価/(総資産-自己資本(簿価)+自己資本(時価))
自己資本(時価):=マーケットの株価×発行済み株式数
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by tsuyoshi_829 | 2006-05-04 22:06  

業種別負債比率

負債比率=負債合計/総資産

データは直近のものを使用しています。約3000社です。予想通り、運輸や金融系の負債比率が高かったようです。
結果は以下の通り(外部ブログに移動ください)

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by tsuyoshi_829 | 2006-04-28 16:40  

資本構成・マーケットタイミング・企業規模

2005年後半に代表される堅調な株式上昇を背景にエクイティ・ファイナンスが活発です。エクイティ・ファイナンスとは新株発行を伴う資金調達のことで、だいぶ前に取り上げたオークマの増資なんかが一例です。最適資本構成の理論だと、株価が上がると必然的に自己資本比率が上がるので、最適資本比率に戻すためdebtを増やすという考えになりますが、市況を勘案し、株式が高いときに増資し低いときに自社株式の買い入れを行うケースがあります。後者の考えをマーケット・タイミング仮説といいます。

論文ですと、http://pages.stern.nyu.edu/~jwurgler/papers/capstruct.pdf
が有名でしょうか。数式も簡単なので興味ある人は一度読んでみるといいと思います。僕も次の次くらいにこれを読むつもりです。

後、別件で悩んでいることがありまして、
わが国企業の負債圧縮行動について
において、日本企業の負債比率の低下要因の寄与度として企業規模(じかベース)、利益率(簿価ベース)が大きいのですが解釈がしっくりきません。①利益率の増加がペッキング・オーダー仮説を通じて負債比率を低下させていること、②情報の非対称性の緩和(企業規模の拡大)によるエージェンシー・コストの低下が、実効的な株式コストの低下をもたらしていること、が原因としてあるようなのですが②がどうも理解しがたい。

企業規模が資本構成に与える影響について、ひとつは企業規模が大きくなると倒産確率が下がりクレジットのプレミアムが減少するので負債比率を高めにできるという話があり、一方、大規模な企業ほど投資家と銀行間の情報の非対称性の度合いが低くなるため負債比率が低下し資本市場からの資金調達が増えることが予想されるという話があります。極端な話をすると、大規模になればセルサイド・アナリストがついて市場から評価されるようになり、株式投資家の情報量が増し銀行の持つ情報ほどではないにしろ、差が縮まるので株式の割合が増えるだろうという話です。上記のリンク先の実証分析では負債比率(被説明変数)に対する企業規模(説明変数)の係数はマイナスでした。これは、後者の話が優越していることが統計的に有意に示されたということです(1%水準)。

企業規模と資本構成、ちょっと実感がわきにくいのでもう少し文献をあさって勉強しています。なお、資本構成と負債比率がごっちゃになっている印象を受けるかもしれませんが、話は同じです。さらに、最適資本構成の議論では、負債比率と負債の満期を考察するのが基本ですが、ここでは満期は無視しています。
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by tsuyoshi_829 | 2006-04-08 21:34