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予習③債務償還可能性と円借款

今日のテキストはこれ(4章にゲストがいます)。(こんなの読まずに明日の筆記対策しなきゃなぁ。)

一つ学んだことは、

東南アジアと比較して、南アジアの無償資金協力・技術協力の割合が低かったのは、途上国側が旧イギリス植民地で、制度や政策の干渉を嫌うため、条件付の無償資金協力・技術協力を拒否する傾向があるからである。ということ。2つ独立には知っていたんだが結びついていなかったなぁ、反省。

不思議に思ったのは、

・借款中心の日本が、DSA(債務持続可能性分析)をつい2年位前から始めたということ。これまではどうやって貸してたんだろう?きっと、財政の指標からラインを引くor借り入れキャパを計算して、他機関と相談??

・DSAの方法が、

具体的には、①初期条件(主要経済指標の実績値)、②外生変数(対外経済環境、対外債務支払パターン、及び資本流入)、③政策変数(将来に亘るマクロ経済政策)、④パラメータ(ICOR 等、将来に亘る経済構造改革)を基に、各国にとって最適と思料される目標変数(例:実質経済成長率、インフレ率、外貨準備の最低水準)を達成するよう経済シナリオを策定する。その中で、対外債務/GDP、対外債務/輸出、債務元利払/輸出(Debt Service Ratio)等の対外債務関連指標を導出し、その動向(発散、収束等)及び一般的に要注意水準とされているレベルとの比較を行うものである。

これだと、決定論的に一つのパスを決めてから債務関連指標の動向をみることになるが、もともとのシナリオの変動性が高いので、指標の変動性がほとんど当てにならないんじゃないかと思う。細かい話かもしれないが、突っ込んで質問してみよう。

ちなみに、有名な論文があって、

Kraay & Nehru(2004、世銀) “When Is External Debt Sustainable?”は、「債務困難性(DebtDistress)=延滞、パリクラブリスケ、IMFプログラム」と定義した上で、同事象発生の原因を回帰分析。特に、①債務負担 (債務-輸出比率、DSR等)、②政策(政策制度、ガバナンス等)、③外生ショック(商品価格変動、自然災害等)の3点が主要要因である点を示している。

Reinhart, Rogoff, and Savastano (2003、IMF) “Debt Intolerance”は、債務持続可能性が当該国の履歴(デフォルト履歴、インフレ履歴)に大きく依存する点を示し、国毎に「債務不耐性」が異なる点を示している。「債務不耐性領域」に入ると、デフォルトの確率が急速に高くなる点を示し、初期債務レベルや、金利(割引率)が極めて重要で有る点を導き出している。

Eichengreen,Hausmann and Panizza (2003) “The Pain of Original Sin”は、「原罪」指数を考案し、外貨建債務比率が高いほど、為替レート・対外資本ボラティリティやデフォルト確率が高く、格付けが低い点を示している。

仕方ないことだが、このあたりの研究は国際機関のほうが遥かに進んでいる。まぁ、人数が違いすぎるよなぁ。

by tsuyoshi_829 | 2005-10-28 23:42  

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