負債比率の決定要因

最近、愛犬サクラと遊んでばかりいる、超楽しい。さらに、母親にパソコンを教えている、超つまらない。

当たり前だけど、優秀とかおもしろい、とかいうのに年齢は関係ないと実感。最近、優秀な後輩と新たに接する機会が多いためそう思う。情熱がある人は最高だ。

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さて、今日は負債比率についてお話します。僕の好きなテーマのひとつです。一部では、負債比率の良し悪しが競合A社や産業平均、日本の平均値と比較されて議論されておりますが、デットとエクイティの比率というのは、事業のしくみ、企業の財務政策の意思、マーケットの状況、その他税制等等、多くの要素により決定されます。それでは、負債比率をどのように考えればいいのか?コーポレート・ファイナンスの分野で議論されているのは、最適資本構成、と呼ばれるものでしょう。

MM命題(の沢山の仮定)においては、負債比率と企業の資本コストが独立なため、企業価値は資本構成に依存しません。法人税0とリスク中立の仮定を外すと、有利子負債の支払利息が損金扱いになるので負債の節税効果、また、デフォルトや信用リスク上昇による破産コスト、この2つを勘案する必要が出てきます。このとき、負債比率を増加させた場合の、節税効果による資本コストの限界的な低下部分と負債比率を増加させた場合のリスクプレミアムの限界的上昇により最適資本構成は定まります。さらに、情報の完全性の仮定を外すと、株主と経営者、経営者と債権者、などに情報の非対称性が生まれます。株主と経営者の情報の非対称性は最適負債比率を押し上げ、経営者(既存株主の利益を最大化すると仮定)と債権者の情報の非対称性は最適負債比率を押し下げます。加えて、資金調達時の情報の非対称性が一括均衡へと導き、シグナルコストを含めた逆選択コストを発生させるので内部留保が選好され、最適負債比率を押し下げます。

以上をまとめるため、(+)を最適負債比率押し上げ要因、(-)を押し下げ要因とすると、以下のようになります。

(+)負債の節税効果
(+)株主と経営者の情報の非対称性(not資金調達時)
(-)破産コスト
(-)経営者と債権者の情報の非対称性(not資金調達時)
(-)資金調達時の外部投資家と経営者の情報の非対称性(資金調達時)

企業ごとに最適資本構成を算出しにくいのは、情報の非対称性のコストの定量化、が極めて難しいことが背景としてあります。情報の非対称性に起因する監視コスト等をどうやって数値化して最適資本構成のモデルに役立てるかというのは重要な問題です。(以下の図を参照)

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さて、上記の議論とは別に、内生的に負債比率が決定されるという発想から、財務指標を企業活動の代理変数として負債比率との関連を論じる研究も多くありました。次回は、有名なRajan and Zingales(1995 journal of finance)の論文とともに代理変数を用いた負債比率の考え方を紹介します。

(つづく)

p.s. 忘年会のため更新は土曜日昼以降になります・・・
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by tsuyoshi_829 | 2006-12-08 01:27  

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